ラットのMOP肉腫の成長に対するチャーガ(カバノアナタケ)の作用

October 25th 2020  |  アークティック茸, 免疫力

ラットのMOP肉腫の成長に対するチャーガ(カバノアナタケ)の作用

I. P. Pavlov名称レニングラード第1医科大学附属病院治療診療所 L. P. Berezina P. K. Bulatov F. Y. Vandygaev

動物の悪性腫瘍の成長に対するチャーガ(カバノアナタケ)の作用を研究するため、筆者らは71匹のラットで実験を行った。ラットにはMOP多形細胞肉腫を入れた。その後の組織学的研究は、N. A. Krotkina教授の指導の下、ソビエト連邦医学アカデミー腫瘍学研究所腫瘍株研究室のA. F. Kondratievaが行った。

実験動物には、触れてみて明確に分かるほど十分に腫瘍が形成された後、チャーガを与えた。チャーガによる治療は、ある実験では、肉腫導入から5~8日後の、腫瘍成長の初期段階で開始し、ある実験では、肉腫導入から19~28日後の、腫瘍がかなり大きくなった、より時間が経過した段階で開始した。5つの実験では、顕著な潰瘍と腫瘍分裂の現象があるとき、治療を始めた。チャーガは、平均して動物の体重100g当たり 2%溶液の1 mlを与えた。使用したのは、ソビエト連邦科学アカデミーV.  L. Komarov名称植物研究所で準備された錠剤ベースの薬剤である。

初めの2つの実験は、27匹のラットで行った。ラットの一般的行動、生存期間、腫瘍の消散を観察した。実験1では15匹のラットに肉腫をいれ、実験2では12匹のラットに肉腫をいれた。実験1では5日後、実験2では18日後に、18匹のラットにチャーガを与え、9匹のラットを対照グループとした。

1ヶ月以内に、対照グループのすべてのラットが腫瘍により死亡した。死亡前の1週間、ラットはほとんど動かず、始終身を寄せ合い、餌をあまり食べず、体重が減少した。実験グループの18匹のラットのうち11匹は、チャーガによる治療を始めて3週間以内に、腫瘍が消えた。

残りの7匹のラットは、平均35日間生きた後、死亡した。実験グループのラットはすべて動き、喜んでチャーガ入りミルクや他のエサを食べた。

実験3は、1956年2月20日に肉腫をいれた、13匹のラットで行った。対照グループは5匹、実験グループは8匹とした。チャーガによる治療は、3月6日に開始した。すべてのラットの腫瘍を、その成長速度を比較するため、体系的に測定した。ラットには番号を振り、観察した。観察結果は、表の通りである。

表1から、対照グループの5匹すべてが、腫瘍によって死亡したことがわかる。肉腫導入の24日後と25日後に2匹、31日後に1匹、39日後に2匹が死亡した。

対照グループのラットの平均生存期間は32日だった。肉腫導入の14日後にチャーガを与え始めた実験グループの8匹のうち、2匹は肉腫導入の38日後と41日後に腫瘍で死亡し、6匹は腫瘍が消えた。

腫瘍の成長を観察することに加えて、実験3ではミシュクの器具を使って、ラットの股と背中にある、腫瘍の真上の皮膚温度を測定した。対照グループのラットの測定結果は、文献データと一致する温度変化を示した(L. G. Nahodkina, 1954)。

肉腫導入後の初期段階では、皮膚温度はすべての測定で上昇し、その後、低下し始めた。チャーガを与えたラットは、皮膚温度の変化が、チャーガによる治療開始前および治療の初期段階で、対照グループのラットと同じだった。つまり、最初の温度上昇とそれに続く低下が観察された。しかしその後は、温度は低下せず、新たな上昇が起こった。

実験4は、1956年4月2日に肉腫をいれた、24匹のラットで行った。腫瘍は19匹に現われ、そのうちの7匹は対照グループとし、12匹はチャーガによる治療を行った。グループ1(8匹)の治療は4月13日に肉腫をいれて11日後に、グループ2(4匹)の治療は4月23日に1匹、4月27日に3匹に対して、つまり肉腫導入から21日後と25日後に始めた。チャーガによる治療が始まるまでの、グループ1の8匹の腫瘍の大きさは、144~874㎟だった。

対照グループのラットの腫瘍の大きさも、表2から分かるように、実験グループの値と近似した。

表 1

実験3のラットの腫瘍の成長

ラット番号 測定データによる腫瘍の長さと幅(m㎡)

03月06日 03月10日 03月12日 03月19日 03月24日 03月30日 04月02日

対照グループ

28 15 x 7 22 x 22 37 x 25 60 x 40 3月23日死亡

29 42 x 15 43 x 35 46 x 36 3月16日死亡

30 35 x 20 40 x 38 42 x 38 3月17日死亡

31 20 x 20 25 x 20 25 x 25 45 x 32 70 x 50 90 x 80 3月31日死亡

32 NA 7 x 5 17 x 15 35 x 25 60 x 40 70 x 70 4月1日死亡

実験グループ

33 7 x 10 25 x 15 22 x 12 20 x 10 10 x 10 腫瘍消散

34 42 x 27 55 x 40 52 x 40 70 x 45 90 x 90 3月30日死亡

35 32 x 25 40 x 25 36 x 20 30 x 30 15 x 10 腫瘍消散

36 35 x 30 50 x 40 50 x 60 60 x 40 90 x 80 4月2日死亡

37 5 x 17 25 x 25 25 x 20 25 x 15 5 x 10 腫瘍消散

38 35 x 25 35 x 30 35 x 35 40 x 30 20 x 10 腫瘍消散

39 20 x 12 25 x 20 20 x 18 20 x 10 腫瘍消散

40 25 x 18 30 x 20 25 x 20 18 x 10 腫瘍消散

表 2

実験4のチャーガによる治療を開始するまでのラットの腫瘍の大きさ

対照グループ 実験グループ

ラット番号 腫瘍の大きさ(m㎡) ラット番号 腫瘍の大きさ(m㎡)

41 570 48 576

42 225 49 225

43 460 50 495

44 805 51 805

45 612 52 760

46 180 53 874

47 225 54 250

- - 55 144

対照グループの7匹のラットはすべて腫瘍により死亡し、肉腫導入の11日後に治療を開始した8匹のラットはすべて腫瘍が消えた。肉腫導入の21~25日後にチャーガの治療¬に移された4匹のうち、2匹は腫瘍が消え、あとの2匹は腫瘍で死亡した。

腫瘍の大きさの変化を観察した実験4では、チャーガを与えなかった対照グループのラットは、死亡まで継続して腫瘍が増えた。チャーガの治療に移されたラットは、初めの7〜14日間は腫瘍が増え続けたが、その後、徐々に¬完全に消えるまで腫瘍が減少した。 一部のラットは、チャーガによる治療中に、腫瘍の進行性消散が始まる前に腫瘍が小さくなったり、一時的に再び増大したりという中間相が観察された(ラット番号49、50、53、55)。

また、腫瘍発生から時間が経過した段階でチャーガの治療が開始されたラット番号56、57、58、59の研究結果によると、治療開始までラットは重篤な状態で、ほとんど動かず、移動に困難を伴っていた。腫瘍は、1200~3500㎟というかなりの大きさだった。2匹のラットは、腫瘍の外的分裂を起こした。

ラット番号56。チャーガの治療は、腫瘍が1760㎟になった、肉腫導入の25日後に開始。治療により腫瘍は徐々に散って、治療から22日後に消失。¬

ラット57番。治療は、腫瘍が1220㎟になった、肉腫導入の25日後に開始。初めの8日間、腫瘍は大きくなり続け、5月5日までに2400㎟に成長。その後、腫瘍は散り始め、治療から28日後に消失。

ラット58番。チャーガによる治療は、肉腫導入の21日後に開始。腫瘍はこの時点で1550㎟になっており、潰瘍化し始めていた。治療により、腫瘍は短期的にわずかに小さくなったが、その後再び大きくなり、治療から18日後にラットは死亡。

ラット59番。チャーガによる治療は、肉腫導入の25日後に開始。腫瘍はこの時点で3500㎟になっており、広範囲に及ぶ潰瘍があった。治療は14日間続いた。腫瘍はその間に急速に大きくなった。その後ラットは死亡。

これらの症例は、腫瘍発生から時間が経過した段階で治療を開始しても、チャーガが有益に作用する可能性を示していて、興味深い。身体の耐久強度が保たれ、十分な治療が可能である場合は、ラット56番、57番で見るように、おそらく腫瘍の消散につながる。

表3は、1956年4月2日に肉腫導入を行った、実験4で得られたデータの概要である。

実験4では、腫瘍の測定に加えて、皮膚温度の変化と電気伝導性を測定した。¬¬

対照グループのラットの観察により、肉腫導入後の腫瘍の成長は、電気伝導性の2相変化を伴うことがわかった。すなわち、肉腫導入後の初期段階には、電気伝導性は増加するが、後にそれは減少し、皮膚電気抵抗の増大を示した。¬

実験グループのラットでは、電気伝導性の変化が異なった。チャーガによる治療は、皮膚の電気伝導性の低下にはつながらず、2次的な増加を引き起こした。

治療中に死亡した2匹のラット(58番と59番)には、目で確認できる腫瘍の消散はなかった。しかし、皮膚の電気伝導性の2次的な増加という変化が見られた。したがって、これらの場合でも、おそらくチャーガの治療は無意味ではなかったと考えられる。それは身体機能にいくつか初期段階の変化を引き起こした。 

身体の電気伝導性は、コロイドの状態、電荷の分布、組織体の透過性に関係する。よって、チャーガの治療における電気伝導性の変化は、タンパク質組織コロイドの物理的化学的特性が変化した指標と考えることができる。¬¬

実験4で行った皮膚温度の研究は、実験3で観察した変化と同じだった。よって、記述はしない。実験5は、7匹のラットで行い、そのうちの6匹は、1956年6月18日に肉腫導入し、7月16日に治療を開始した。

実験結果は、表4の通りである。対照グループのラットは、¬肉腫導入して40日後、腫瘍および転移で死亡した。実験グループのラットは、チャーガの治療から25~40日以内に、6匹のうち、4匹の腫瘍が消えた。2匹は、治療から16日後と19日後、肉腫導入して43日後と46日後に死亡した。興味深いのはラット番号65番で、腫瘍は治療開始時までに潰瘍化し、4800㎟に達していた。腫瘍はチャーガの治療から5日間は成長し続け(最大5200㎟)、その後短い小康状態を経て、縮小した。治療から3週間後に潰瘍がなくなり、40日後に腫瘍が消えた。

表 3

実験4の観察期間におけるラットの腫瘍の大きさ

ラット番号 測定データによる腫瘍の長さと幅(m㎡)

04月07日 04月13日 04月20日 04月23日 04月27日 05月05日 05月11日 05月18日

対照グループ

41 - 570 未測定 1000 1820 2500 腫瘍により死亡

42 72 225 440 未測定 1200 2400 腫瘍により死亡

43 - 460 551 625 750 1200 1750 腫瘍により死亡

44 - 805 未測定 1110 1900 2750 腫瘍により死亡

45 9 612 1125 1500 3000 腫瘍により死亡

46 - 180 未測定 2100 3500 腫瘍により死亡

47 6 225 480 700 875 1400 腫瘍により死亡

実験グループ

4月13日に治療開始

48 6 576 924 950 450 400 未測定 腫瘍消散

49 - 225 270 150 260 150 腫瘍消散

50 28 495 594 300 450 150 腫瘍消散

51 9 805 1244 1750 2750 875 未測定 腫瘍消散

52 9 760 1050 528 264 80 腫瘍消散

53 24 874 384 525 200 100 腫瘍消散

54 6 250 未測定 518 200 70 腫瘍消散

55 - 144 100 220 300 150 腫瘍消散

4月27日に治療開始

56 - 570 未測定 1200 1760 750 200 腫瘍消散

57 60 250 480 560 1220 2400 875 腫瘍消散

4月23日に治療開始

58 9 600 1000 1550 1400 2550 腫瘍により死亡

59 - 200 1800 2100 3500 4800 腫瘍により死亡

表 4

実験5の観察期間におけるラットの腫瘍の大きさ

ラット番号 測定データによる腫瘍の長さと幅(m㎡)

07月16日 07月22日 07月26日 07月30日 08月05日 08月09日 08月14日 08月18日 08月22日 08月25日

対照グループ

60 4800 未測定 8075 7月28日死亡

実験グループ

7月16日に治療開始

61 5400 6300 6300 8100 8月1日死亡

62 600 750 750 400 150 腫瘍消散

63 4000 4675 4800 3500 2400 1200 400 50 腫瘍消散

64 3500 4200 4200 3800 3250 2400 1600 300 未測定 腫瘍消散

65 4800 5200 5200 4800 3500 2000 1200 330 50 腫瘍消散

66 5400 5400 6175 7000 8月4日死亡

5つの実験で得られた全体的な概要を表5に示す。

このように、チャーガによる治療を行った44匹のラットのうち、13匹は腫瘍により死亡、31匹は腫瘍が消えた。対照グループの22匹のラットはすべて腫瘍および転移によって死亡した。実験グループの死亡したラットは、対照グループのそれより、生存期間が少し長かった。¬

A. F. Kondratievaは、チャーガによる治療で小さくなり始めた腫瘍の組織学的研究を行った。腫瘍には内部微小壊死があり、その産物は徐々に消散した。これはおそらく腫瘍の減少につながった。¬¬¬

表 5

5つの実験結果の概要

実験番号 ラットの数 実験グループ(チャーガによる治療) 対照グループ

肉腫導入したラットの数 肉腫になったラットの数 ラットの数 平均生存期間(日数) ラットの数 平均生存期間

総数 内訳 総数 内訳

腫瘍消散 死亡数 腫瘍消散 死亡数 (日数)

実験1 15 15 10 6 4 30 5 - 5 28

実験2 12 12 8 5 3 40 4 - 4 32

実験3 13 13 8 6 2 40 5 - 5 32

実験4 24 19 12 10 2 38 7 - 7 34

実験5 7 7 6 4 2 46 1 - 1 40

合計 71 66 44 31 13 38 22 - 22 32

実験研究の結果は、チャーガが、MOP肉腫を持つラットの身体に、何らかの作用を及ぼすことを示している。その作用は、多くの実験動物で、腫瘍が完全に消えたというものである。一方、対照グループでは、いずれのラットにおいても、筆者らの実験では腫瘍の消散は見られなかった。また、チャーガによって治療された動物には、対照動物で観察されるものとは異なる、身体機能の変化があった。

皮膚電気伝導性と¬皮膚温度の生理学的指標により、チャーガによる治療が身体機能の低下を止め、悪性腫瘍の成長を遅らすことがわかった。さらに、より長くチャーガで治療することで、その後多くの動物で、身体機能の向上を示す指標が増加した。実験データと文献データの比較により、腫瘍は、通常の状態では自発的に消散しないが、チャーガによる治療によって、成長のより初期段階において、機能変化が起きると推定される。

実験データから、チャーガ治療で腫瘍の抑制や消散が起こる、MOP腫瘍を持つラットの多くが、チャーガの作用により、一般的な身体機能の状態に戻ると考えられる。身体の反応性と神経系の強化、そして、組織代謝と栄養へのチャーガエキスの直接的な作用は、おそらく、身体の正常な抵抗力と、悪瘍に対する身体の保護メカニズムの回復につながる。これらの機能変化は、組織や臓器の正常化であると考える。

結論

1. チャーガによる治療は、MOP肉腫を持つ一部のラットで、腫瘍を完全に消散させる。

2. チャーガ治療での悪性腫瘍の消散は、症状によって変わる生理学的指標の正常化への動きを伴う。